ジョルジュ・バタイユ、『眼球譚/マダム・エドワルダ』、講談社文庫

評論を除くと、これが僕の初めてのバタイユだった。 まあなんとも驚くほど、エロい。猥褻とかではなく、エロいと言ってしまいたくなる。古文書学校、コジェーヴの生徒、みたいなイメージが吹っ飛んで、身近に感じたのだ(下司い感想だが)。 主人公の「私」…

ポール・オースター 『幽霊たち』 新潮文庫

ポール・オースターという名前はずっと気になっていた。 現代アメリカを代表する作家、ベケットとの親和性、云々。様々な情報は耳に挟んでいたのだが、実際に読んだのはこの『幽霊たち』が始めてだった。全体的な感想としては、全面的に大賛成、大好き、とい…

Björk "Vespertine"

「メダラ」より後のアルバムは追えていないんだけど、ビヨークでは「ヴェスパタイン」が一番好きだ。 というより、他のアルバムはいまいち乗り切れないというか、ちょっとついていけないな、と感じる時がある。ビヨークはコケティッシュであり、チャイルディ…

David Grubbs "The Thicket"

シカゴ音響派、というジャンルがある。 ジャンルという言葉はアレルギーを起こしがちだが、シカゴ周辺に特定の傾向を持ったミュージシャン達の緩やかな繋がりがあり、彼らの作り出す音楽をシカゴ音響派という言葉で括った、という風に捉えて欲しい。そもそも…

エドガー・アラン・ポー、『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』、岩波文庫

ポーの偉大さはいささか分かりづらい。 おそらく、あまりに偉大すぎる、ということだろう。大仰な雰囲気、隙のない構成等、現代の我々の眼には却って驚きを減じて映るのである。しかしながら、再読すると、やはり単純に面白く、興奮せずにはいられぬことも事…

フランツ・カフカ、『アメリカ(失踪者)』、角川文庫

ドイツ人の少年カール・ロスマンが、アメリカへ到着し、叔父のもとへと引き取られるも追放される。道中フランス人ドラマルシュ、アイルランド人ロビンソンという二人の男と出会うが、彼らに愛想を着かし別れてしまう。その後ロスマンはホテルのエレベーター…